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2011年9月20日火曜日

剣の戦士団 GM裏話

そんなわけで、ソードワールド2.0セッション「剣の戦士団」のセッションレポートを公開させていただきました。
このレポートを書いてくれたプレイヤーは、プレイヤーの人数不足の為にPC2人持ちという無理をお願いしたにも関わらず、記憶だけを頼りにこれだけのものを書き上げるという荒技を見せてくれました。感謝。

2011年9月19日月曜日

剣の戦士団・15

「そうと決まれば、神殿であなた様方を保護させて頂きます」
カサンドラが進み出て言った。
「……神殿で、大丈夫なんですか?」
サフィールが横から水を差す。あえて多くは語らなかったが、サフィールの言いたい事はカサンドラにも分かった。通常、神に仕える神殿では、死者達の歪んだ生命そのものが許容されるはずがない。むしろ問答無用に排除されるべき存在だ。
だが、ことこの街のザイアの神殿に限って言えば、剣の戦士団は英雄として崇められているし、元々その死者達を鎮めようと発案したのは他ならぬ神殿なのだ。死者達の意向に反するような事はしないであろう。

剣の剣士団・14

「そうか、お前達にも苦労をかけたな……」
今回の遠征、そして今日1日の街中での話を聞き終えると、黒の剣士は溜め息混じりに呟いた。それから、改めてヴァルドの方に向き直る。
「お前は、ちゃんと普通に暮らしているんだな」
ヴァルドはその言葉にうなずいて見せた。
「幸せかどうかは分からないけれど……それなりに、普通に暮らしています」
「そうだな、俺達に比べればずっとまともか」
言いながら、黒の剣士は苦笑する。

剣の戦士団・13

時刻はもうそろそろ夕方のはずだが、夏の陽は長く、暗くなるにはまだ早いようだった。
一行が塔の中へ入ってゆくと、崩れ落ちた部下達の骨に囲まれて、途方にくれた様子の白の騎士が立っていた。赤の戦士と同じく、その全身は今や骨だけとなっている。
「……ヴァーミリオン?」
その白銀の槍と鎧は、かつてカサンドラが夢にまで見た物に相違ない。だが赤の戦士と比べるとやはり全体の骨は細く華奢で、そしてその声は確かに女性のものだった。

剣の戦士団・12

ウェンディーネが全身の毛を逆立てて硬直したのを視界の端に入れながら、サフィールも我知らず息を呑んでその場に凍り付く。
神殿でヴァルドが具合が悪そうにしているのを見た時すでに、勘の良いサフィールは、生まれながらに穢れを持つ悪魔の落とし子、ナイトメアかもしれないと疑ってはいた。ヴァルドが戦士団の一員だった事を聞き、その疑いは晴れたものの、今目にした光景は予想をはるかに超えていた。
そしてサフィールは凍り付いたまま動けなくなった。サソリの尻尾の一撃をよけた赤の戦士が攻勢に転じたのだ。重たそうな長剣を軽々と目にも止まらぬ速さで扱う赤の戦士の攻撃に、ヴァルドがなす術もなくさらされている。

剣の戦士団・11

「そうすると、問題になるのは……どの塔に向かうか、という事ですけれど……」
サフィールの言葉に、皆がうなずくが、
「どこでもおんなじじゃないの?」
と、ウェンディーネだけは相変わらず気楽そうだ。
「さっき、どこに誰がいるか聞いてたじゃないですか」
「うん、聞いたよ~?でも分かんないんだもん、後は運次第って事でしょ~?」
「分からないからこそ、慎重に選ぶ必要があるんですよ……」
状況が分かっているのだか分かっていないのだか、能天気なウェンディーネだが、その意見にも一理ある。考えようにもその判断材料となる情報が何もないからだ。仮に選べるとしても、誰とも戦いたくはないという事に変わりはない。
4人は先ほど来た道をそのまま更に先に進み、街の奥にある北の塔を目指す事にした。

剣の戦士団・10

「ねーねー、もうひとつ聞きたいんだけど」
黙ったまま、しかし興味津々でその場のやりとりを眺めていたウェンディーネがぴょこんと手を上げる。
「どの塔に、どの色の戦士がいるかって分かる?」
問われて、ザードは額に手を当て、しばらく考えていたが、やがて首を横に振った。
「すまんな、どの塔を誰が守っているかは今は分からん……もうだいぶ、昔の記憶も曖昧でな。私も、調子の良い時でなければ、こうして長時間正気を保って話をする事も出来んのだよ」
「そっかぁ……じゃあしょーがないね」
軽く答えるウェンディーネは別にそれ以上文句を言いはしなかった。確かにそれぞれの戦士の戦い方は違うため、誰に会うか事前に分かっていれば心構えも出来たかもしれない。もっとも、誰に会ってもおそらく勝てないであろう事は疑う余地がない。

剣の戦士団・9

「……可能性がない訳ではないが」
しばしの沈黙の後、ザードが重い口を開く。
「封印をどれか一つ解く事が出来れば、守りの剣の力が周囲に及ぶ。そうすれば、彼らも正気を取り戻すはず。それからなら話をする事も出来よう」
サフィールがその言葉の意味するところをよく考えてみるまでもなく、
「隊長達の誰かひとりを犠牲にしろと!?」
ヴァルドが声を荒げ、実体のないザードに掴みかからんばかりの勢いで食ってかかる。それにはザードも口をつぐみ、言葉を返して来なかった。

剣の戦士団・8

「さあ、じゃあ封印を解きに行くわよ」
カサンドラが気を取り直して決然と言うのを聞いた瞬間、サフィールはハッとした。
封印を解く事自体に異論はない。しかし、サフィールとしてはその前に先ほど聞いたトレーダーズギルドを訪れなければならないのだ。封印を解いてからは、幽霊達は街中に存在出来ない。つまり、ひとたび封印を解いてしまったら、サフィールの求める「無限の魔法力の秘密」は永遠に失われる。
「ちょっと待ってください」
慌ててカサンドラを止めるサフィールを皆が不思議そうに見返す。

剣の戦士団・7

「おう、どうしたんだ?」
サフィールが一人戻って来たのを見て、先ほどの幽霊が驚いた顔をして声をかけてきた。
「ちょっとお聞きしたいのですけれど」
言いながらサフィールはちょっと周囲を見渡した。
「戦士団の中に、“無限の魔法力を持つ魔術師”がいるという噂を聞いたのですが……」
通常、魔法力というものは有限だ。個人の資質によってその力に差はあるが、どんなに高位の魔術師でも魔法力を使い果たせば魔法は使えなくなる。普通はきちんと休息を取らない限り魔法力は回復しない。無限の魔法力を持つという事はつまり無制限に魔法が使えるという事だ。その無限の魔法力の秘密を探る事こそが、今回サフィールが遠征に参加した目的だった。

剣の戦士団・6

次にどうするか迷ったものの、最後に残った酒場にも一応行ってみる事にした。人が集っていれば重要な情報源となる酒場だが、廃墟ではそれは望めそうにない。

そう思いつつ酒場に足を向けた4人だったが、近くまで行くとどこからともなく陽気な歌声が聞こえてくるのに気が付いた。歌声だけではなく、時折賑やかな笑い声が混じるその騒ぎは、どうやら酒場の中から漏れ聞こえてくるようだ。
サフィールが窓から様子を窺おうと提案したが、窓は鎧戸で閉ざされていた。勿論、酒場の扉もしっかりと閉まっている。
全員、そっと顔を見合わせた。

剣の剣士団・5

次は商館に回ってみる事にする。
商業で栄えていた都だけの事はあって、街中には大規模な物からこじんまりした物まで幾つもの様々な商館があるようだが、ここはそのうちの一つだ。
入り口の扉は閉まっていたが、鍵はかかっておらず、簡単に開いた。間口は広く天井も高いので、カサンドラの馬を連れたまま入ってもまだ十分に余裕がある。用心しつつ館内に入って行くと、入ってすぐ広くなっているホールに、先ほど街中で見たのよりも大きくてしっかりとした武装のスケルトンが数体に、黒々と濃いもやの塊のような物がいるのが目に入った。かろうじて人型をしてはいるものの、全体の輪郭はもやに包まれて奇妙にぼやけている。

剣の戦士団・4

朝になると、街壁の上に幽霊達の姿はなかった。さすがにそれほど強い存在ではないため、陽光の下では活動出来ないのだろう。

いよいよ街中へと進む事になる。とはいえ、中の様子が全くと言っていいほど分からないので、まずはパーティー単位で担当区域が割り当てられ、その場所の調査をするという事になった。万が一死者達に出くわした時は、可能な限り解放を試みるが、後はその時の状況と判断次第という事だ。暗くなる前には一旦街の外へ出て本陣へ戻り、報告会が行われる予定となっている。
経験の浅い冒険者達から街の入り口近くに配属され、カサンドラ達の担当は街のやや奥、中心地にほど近い場所だった。

剣の戦士団・3

深夜、見張りの順番が回ってきた。
「眠いよぉ~……」
ウェンディーネはそう言いつつ、既に半分寝ている。
「じゃあロッシェ、あっち見ててね。わたしはこっち見てるから」
対照的に楽しそうに灰色猫と見張りにいそしんでいるのはサフィールだ。
たかだか1時間、何もある訳がないだろうと思いつつも念のため再び愛馬に跨ったカサンドラも周囲を警戒し、ヴァルドも黙ったまま油断なく辺りに気を配っている。
そろそろ1時間の見張りも無事に終わろうかという頃、サフィールの腕の中にいる猫が「にゃ」と短く鳴き声をあげた。続いて灰色のその毛を逆立てる。
「どうしたのロッシェ、何かあった?」
言いながらサフィールもすぐその存在に気付いた。何しろ使い魔であるロッシェとは視覚や聴覚を共有する事が出来る。
それはまだかなり遠くの方にいたが、真っ直ぐこちらに向かって来ていた。

剣の戦士団・2

暦の上では初夏から夏に入ったばかりの季節の中を古い街道に沿って進んで行く。滅びた都へと続く打ち捨てられた街道には長らく行き来する者もなく、雑草が茂っていたりする場所もあるが、かつての繁栄を偲ばせるかのように未だ踏み固められた道が残っていた。
じりじりと夏の太陽が容赦なく照りつけ、時折乾いた風が埃を含んで吹き抜けていく。
周囲はところどころ尖った岩が覗いている灰色の岩砂漠だ。見通しは悪くないが面白味もない景色が延々と続いている中、粛々と進む遠征軍の足音が響く。廃墟への道中も決して安全とばかりは言えないのだ。


剣の戦士団・1

中規模の商業地として発展しつつある街、ローファ。
そのローファの東、2日ほどの場所にその廃墟はある。
かつて商業の都として栄え、15年ほど前に蛮族との戦いにより放棄され滅んだその都、ロンダルについて、吟遊詩人はこんな物語を唄う。


「剣の戦士団」 概要とキャラクター紹介

セッション日:2011年7月23日
シナリオ:剣(つるぎ)の戦士団
マスター:とり
プレイヤー:我楽多(カサンドラ)、水葉ヴァルド)、水葉サフィール)、じゃすみんウェンディーネ)

マスターのコメント:
今回は時間の都合などからプレロールドでPCを用意して、キャラクターごとに個別の裏設定をハンドアウトとして与える形でプレイしてみました。かなり色物的な無茶なデータと設定を与えているキャラもありますがそれなりに楽しんでもらえたようで何よりです。

キャラ設定は続きを読むからどうぞ。

本ブログの開設の経緯とご挨拶

本ブログの開設のきっかけは2011年夏のTRPG合宿でプレイしたセッションにあります。


都合によりプレイヤー3名という状態だったので、参加者の中のひとりに、ひとりふた役をお願いしてPC4人という形でのセッションとなりました。マスターである私自身は記録を取るつもりなど全くなかったのですが、セッションからひと月以上経過後メール17通にも渡るセッションレポートが送信されて来ました。

セッション中録音等はしていなかったため、おそらく記憶だけに頼って書き上げられたであろうそのレポートは、プレイヤーの発言をきちんと本文中に反映しつつも、綺麗に小説形式でまとめられていました。
マスターとしては、シナリオの前半部分しか用意せずにアドリブで回したセッションが、このようなストーリーにまとめ上げられたこと自体が新鮮な驚きであり、思いがけない喜びでした。
これをメールボックスの隅に埋もれさせておくのも惜しいので、新しくブログを立ててここにまとめることにしました。

なお、セッションに使ったシステムはSW2.0ですが、マスターがいい加減な人間なので厳密に設定を運用することはなく、いつも適当にとある街~などと始めてしまいます。よって、文中でSW2.0のワールド設定やルールブックの記載内容と矛盾が生じていることがあっても、レポートをまとめてくれた側ではなくマスターである私の責任であると明言しておきます。
そのような間違いがあった場合、どうぞおおらかな気持ちで読み進めて頂きますようお願い致します。

それでは、SW2.0セッション「剣(つるぎ)の戦士団」をお楽しみ下さい。