「これ全部そうなの?」
魔法反応はかなりの数だった。1階、
そして地下にも一カ所、5、
「…ん?何だこりゃ?」
レトはすぐ異変に気付いた。2階にある魔法反応の一つだけが、
「ねぇ、これ何か変だよね?」
「ええ、いかにも」
眺めている間に、他の仲間達もその異変に気付いたらしい。
そして、振り返って見れば、
「よし、行ってみようぜ」
「行きましょうか」
迷う余地はない。4人は真っ直ぐにその動く魔法反応に向かった。
すぐに目指す部屋の扉の前に着いた。レトが手早く扉を調べ、
そこは屋敷の主の執務室のようだった。
そして壁と天井や床の継ぎ目には幾つか隙間が空いており、
まず机を調べようとしたレトは、
さらに机を調べてみるが、さほど変わった物は見当たらない。
カリカリと引っかく音がすぐ近くの床から響いた。かと思うと、
「う、うわあぁぁっ!」
「出たあぁあ!?」
4人ともさすがに慌てて身を引きながら武器を手に取り身構える。
「ま、待ってくれっ!」
突如、耳慣れないキイキイ声が部屋に響いた。
「あんたら、冒険者だろっ!?助けてくれっ!」
甲高く切羽詰まったその声はどうやらこの人面鼠から発せられた物
「何なんだよこいつは……」
「……お化けネズミ?」
「分かった、アンタが呪いの元凶でしょっ!?覚悟しなさいよっ!
「違うって、話を聞いてくれっ!」
最初の驚きと混乱が収まると、
「こう見えても、俺はネズミじゃない、人間なんだ」
人面鼠はしみじみとした口調で話し始めたが、
「どう見てもネズミだけど」
エルディがいきなり話の腰を折る。もっとも、
「そりゃ今はこんな姿になっちまってるけどな、
「……ちゃんと、ねぇ」
背の低いアルトが冷たい目で鼠を見下ろし、
「あんたら冒険者なら、俺を元に戻す方法も見つけられるだろ!?
「まぁ、出来なくはないかもしれませんがねぇ」
バルニエがゆっくりと勿体をつけ、
「なぁ頼むよ、人助けだと思って!」
「助けるも何も、お前ルオ商会の泥棒だろ」
レトがいきなりそう切り込むと、
「……な、何の話だ?」
「とぼけても無駄ですよ、調べはついてるんですから」
「そういう態度取るって事は、一生その姿でいるって事だな?」
バルニエとレトに静かに締め上げられ、
「わ、分かったよ!そうだよ、
あたふたと人面鼠が泣きそうな声をあげるや、
「よし、なら交換条件だ」
すかさずレトがたたみかける。
「オイラ達は元々商会の依頼でその金を取り返しに来たんだ。
「わ、分かったよ……」
「さあ、では何があったのか聞かせてもらいましょうか」
レトとバルニエに詰め寄られ、人面鼠は諦めたように話し始めた。
それによると、
「だけど、本当の恐怖はそれからだった……」
丸1日ほどこの部屋に立てこもっていた彼の所へ、
「えぇっ、さっきあたし達もネズミに噛まれたよっ!?
またも早とちりで騒ぎ出すエルディを、
「いやいや、多分大丈夫だから」
「我々は喰い殺された訳ではないですからね」
半ば呆れた調子のレトとバルニエが2人がかりでなだめていると、
「ネズミになっちまってからというもの…
そう言って人面鼠は短い前足で頭を抱え込み、
「あー、その呪いにネズミの群が操られてるんだねー」
「どうやらそのようですね」
納得いった様子でアルトとバルニエが顔を見合わせる間にも、
「で、そんな事より盗んだ金はどこに隠したんだ?」
レトは容赦なく追求の手を緩めない。
「……地下室だよ。ここに鍵もある」
すっかり観念した様子の人面鼠は、
「よし、じゃあ確認しに行くからな」
念を押して鍵を受け取ったレトを先頭に、
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